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#70 コルシェ・センター・フィールド大会:前編 4/4


「やりすぎだ、リズ!」

ロワンの声は響いたが、リズには届いていなかった。


ふいによろよろとよろめながら近づく金色の光をヒワリは手で包み込んだ。
目は両方とも×になり、体の色は元に戻っていたが体は淡い藤色ではなく、
桃色に染まっているグロウ・ピンキーだった。

周りに見えないように、少しだけヒアの魔法をグロウ・ピンキーに送ると
チームごとの籠へ入れた。



『リズがサンダーを浴びさせたところで一度集計しましょう。あくまでここは選抜ですので
悪しからずご了承願います。

…さて、集計ができたようですね。Aチーム8匹、Bチーム11匹、Cチーム7匹。
なお、グロウ・ピンキーの色違いはCチームによって見つかりました。
よって、5匹分となり、Cチームは15匹獲得。
これにて、トール、ナムサ、ロムリ、ヒワリ、リズ、ムーベンの決勝進出が決まりました!』


ヒワリは他のグロウ・ピンキーたちを見て唖然として、アナウンスが耳に入らなかった。
チームごとの籠には弱りきったグロウ・ピンキーたちが入れられており、
赤い光と金色の光を交互に光り再び警戒を示した。

ウォーターとヒアを混ざり合わせた医療魔法を使う。
宙に浮いた球体のような液体に始めこそは警戒していたものの、水だとわかると
楽しそうに遊び始めた。


「何してるの?もう終わったのよ?」

リズの冷めたい言葉が突き刺さる。
「それに邪魔しないでって言ったよね?何?そんなに人の邪魔がしたいの?」

いつの間にか鞘を抜き、剣を持ってヒワリに詰め寄った。
グロウ・ピンキーたちの光は青色へと変わり、リズの様子におびえていた。

リズの瞳を見てヒワリははっきりとした確信に変わる。
瞳の奥では、憎しみと怒りが渦巻いているように見えた。
それがヒワリに対してなのか、ヴァンパイアに対してなのか分からないが、
今のリズと同じ目を前に一度見覚えがあった。
以前、鏡を映して見たヒワリ自身の時と同じ瞳。




「なんか大会にしては変ですよ。なんというか・・・焦ってるといえばいいのでしょうか」
エンゼルはそうフォーンやヒイラギ、ユラに言った。
みんなもその意見に賛同したようだ。

そして、そういっている間に観客席でどよめきが起こった。


「ヒイラギ、リズが!」
フォーンの声にはっとして、ヒイラギはリズを見た。
腰の鞘にしまっているはずの剣が抜かれ、ヒワリに迫っている。

それをみてフォーンやエンゼルは居ても立ってもいられない。

 「どうしちゃったのかな・・・?ヒワリ大丈夫かな??」 
 「えっと・・・、そうだ!魔法を使えば・・・!」
 「ここからでは魔法は使えない。遠すぎるし、何より危険だ」
ユラの声にエンゼルは納得できない。

 「でも!」

そして他の観客席ではさらにどよめきが強くなった。
ふとリズとヒワリの近くへ見ると、そこには黒いマントを着た
何者かが立っていた。

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#69 コルシェ・センター・フィールド大会:前編 3/4


「裏切り者が偉そうに!!ヴァンパイアなんぞ関係ねぇんだよ!!」

ムーベンが目の前で大型鎚を振り下ろした時、グロウ・ピンキーがムーベンの前を
通り過ぎて行った。
すぐさま、ムーベンはグロウ・ピンキーを追いかけていく。
先ほどまでの怒りはどこへやら、その様子はあまりのも滑稽に見えた。


「今ね、グロウ・ピンキーを相手にしてるのよ。わかる?英雄さん?」

ため息の中に怒りを交えたリズもヒワリの前から消えて行った。
まだ、話終わっていないのにな・・・。

もうすでに他のチームもスタート地点から出発している。
そのことが余計に二人を急かしたのだろう。



『おっと!ここで手こずってしまっていますね。
グロウ・ピンキーはまだまだたくさんいますよ!…ここでBチームのナムサがグロウ・
ピンキーを取りました!ちなみにグロウ・ピンキーは金色の光で包まれてますが、
本体は淡い藤色をしています。
色違いもあり色違いでは、白く透き通った本体です。
今回、このステージ上にいる色違いはたったの1匹。さて誰が手に取るのか楽しみですね!』


グロウ・ピンキーについてはヒワリも何度となく聞かされ見てきたものだ。
グロウ・ピンキーの本体は小さく可愛らしいものだが、集団になると手が着けられなくなる。
波や氷、霧を発生させたりするのも彼らだという。



突如、鳥の鳴くようなピューという音が響き、ヒワリの近くにいた3匹のグロウ・ピンキーが
音色につられて集まり始めた。
いや、正確には危機を感じてかもしれない。
この鳥のような音色はグロウ・ピンキーを食べる鳥の音色だった。

グロウ・ピンキーの光も真っ赤に染まり始めている。

ヒワリは急いでグロウ・ピンキーが目指す場所へ付いて行った。




『どうしたのでしょう?リズの口笛で20匹ほどのグロウ・ピンキーが集まり始めました!
金色の光を持つグロウ・ピンキーの光は徐々に赤く光り始めています!
…どうやら、あの音色はグロウ・ピンキーの敵であるコレク・ロウ
という鳥のようですね。
グロウ・ピンキーが警戒を強めています』

ヒワリが追い付いた時には、時既に遅くリズはグロウ・ピンキーに取り囲まれ近付くことが
出来ない程に集まっていた。


「リズ!」

リズに声をかけると、一斉にグロウ・ピンキーはリズの周りに氷を増殖させようとし始めた。



「あの小娘、グロウ・ピンキーの特性を知らんのか?」
「コルシェ中なら誰でも知ってるはずだが」

集まり始めたグロウ・ピンキーを見ていた、スカルとロムリが口々に話していた。
ステージ上にいた狩人たちが集結していて、リズの周りを取り囲んでいた。

リズは攻撃魔法にサンダーを使い、グロウ・ピンキーに浴びさせた。
しかし、グロウ・ピンキーは氷に隠れ上手くサンダーが届いていない。
さらに、グロウ・ピンキーは警戒意識を強め、観客席からは赤い薔薇のステージが
浮かび上がってくるようにみえる。

「ファイア!」

ヒワリは攻撃魔法のファイアを部分的に配置させ、回転させるように火の輪を作ると、
周りの氷を溶かし始めた。
急な火の熱に、氷を増殖させ始めるグロウ・ピンキーの魔法速度が追い付かず、
グロウ・ピンキーたちは伸び始めている。

そこを狙ってグロウ・ピンキーを捕まえる者もいたが、リズはそれでもグロウ・ピンキーに
サンダーを浴びさせようとしていた。

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#68 コルシェ・センター・フィールド大会:前編 2/4


【コルシェ・センター・フィールド:決勝戦】

『さぁ始まりました!決勝戦最終日です!今回の決勝戦ではトーナメント戦になっています!
ルールは選ばれた9人の中から、まず3人1人チームに分かれ、チーム戦を行います。
チーム戦ではグロウ・ピンキーを捕獲。

なるべく多く捕まえたチームからトーナメント戦に入り、一組のチームが脱落です。
では、さっそくチームに分かれて頂きましょう』



Aチームはロワン、ユズ、スカル。Bチームはトール、ナムサ、ロムリ。
Cチームはヒワリ、リズ、ムーベンと分かれる。

3チームが揃うと足下から一気に氷が広がり始めた。
付き上げるような氷の結晶は次々9人の前を囲み、観客席からはクリスタルのバラが
咲いたように見えた。

その時に輝き始めたキラキラと舞う光は観客席にまで届き開場をわかせる。


「えっ??どうなってるんですか!?」
エンゼルは驚き思わず声を上げる。
「少なくても、あの氷は本物みたいだね」
フォーンは宙に舞う光を手に取ると、手の中で水滴に変わっていた。

 「この光は空気中の水分が凍って煌いてる。ステージじゃ、冷気が相当ありそうだな」
ヒイラギがそう解説し、エンゼルは驚く。
 「そんなことってあるんですか!?」
 「見たこと無いけど、そう聞いた。カルネの町で治療中の旅人から」




『ステージはここコルシェの水で凍らせていますが、グロウ・ピンキーは氷の中を
自由に動き回る水の精です。全長が小指ほどに小さく捕獲が困難とされています。
もう準備は出来たそうなので、それではさっそく始めましょう!』


カウントが始まり決勝戦が開始されると、一斉にグロウ・ピンキーが放たれ氷の中へと
姿を隠すが体から放たれる金色の光で辺りはキラキラと光っている。

Bチームは我こそ先にと、みんなばらけてグロウ・ピンキーを探し始める


「バラバラになったらダメだ。余計に捕獲が難しくなる」

Aチームではロワンがそう言い放っているのをヒワリは聞いていた。
観客席の気温とステージ上の気温ではかなりの差がある。
その上、相手は氷の中を自由に動ける水の精。
バラバラになれば寒さと体力の消耗が激しくなり、捕獲どころ
ではなくなるのをロワンは見抜いていた。



「コルシェの裏切り者が」

そう罵ったのは、同じチームの大男――ムーベンだった。
あの第6掲示板前のパーキン通りでエンゼルに絡んできたあの大男だ。


「気にいらねぇな!こんなチーム。お前もだ、こんなんで何ができる!」

持っていた大型の鎚を氷に叩きつけた。
割れ目が走り、氷が砕かれる。
相当血の気が上っているらしい。
その理由がヒワリの存在にあるとしても、否定はできなかった。


「何それ?力だけしか脳のないバカには言われたくない。
ご愁傷様、こんなチーム、チームとも思わないわよ」

リズはそう皮肉を言い、腹を立てたムーベンと睨み合っていた。
正直なところ、ここまで仲の悪いチームは最悪の他ない。

こんな状況でヴァンパイアが現れたらただ仲が悪いだけではすまされないだろう。



「ムーベン、リズ。ヴァンパイアと戦ったことは?」

ヒワリが声を掛けた瞬間に睨みの目線が突き刺さってくる。
特にリズはヴァンパイアに反応したようだ。

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#67 コルシェ・センター・フィールド大会:前編 1/4

【コルシェ・センター・フィールド:決勝戦】

歓声が一気にどよめきに変わった瞬間をリズは聞き逃さなかった。
大会にいきなり現れた相手。


それでも負ける訳にいかない。
今日の決勝で負ける訳にはいかなかった。

そうリズは決意していた。
それなのに…――。


リズが刃向かった相手はあまりにも強すぎた。
突如として大会の最中に現れた人物はマントをはためかせフードを被っている。


袖から覗かせる長い爪には見覚えがあった。

「お前は!!…――」

大会決勝戦に残った出場者ではない。


狩人の誰がみても正真正銘のヴァンパイアだ。
フードの奥から赤い2つの目がリズを見下ろしていた。





【コルシェ・センター・フィールド:決勝戦――開始直後】

翌朝、コルシェ・センター・フィールドのゲートをくぐり抜けるとちょうどアナウンスが入り
辺りは決勝戦での開幕ムードで開場をわかせていた。


開場だけでなく、外からも歓声が上がっているようだ。
昨日とは違う活気の良さに、エンゼルとフォーンは驚いた。


「今日は一段と盛り上がってるんですね」
「そうそう、一位になったらどうなるの?賞金だけ?」
フォーンはロワンに尋ねる。

「決勝へ進んだ者は前回のチャンピオンと戦う権利を得る。賞金はその後。
勝てば、次のチャンピオンだな」
「なんだ…、期待外れ…」
もっとこう、メダルとか貰えるのかと思った…。
フォーンはそう思いがっかりした。

「一体何期待してたんだ?この大会自体、狩人同士の力比べだろ?」
そんなフォーンの様子をみて、呆れて言ったのはヒイラギだ。
「仕方ないでしょ?大会自体始めてなんだから!」
ムッとしたフォーンは言い返す。
「だとすれば、リズはどうして大会に出てる?戦う必要はないだろ?」

ユラの指摘も一理ある。
しかしそれは誰にもわからなかった。


もしあるとすれば――。
ヒワリは昨日、ヒイラギがリズの話をしていた内容を思い返す。
もし・・・あるとすれば、ヴァンパイアが原因?
もしその事件がなければ、リズはこの道に進まずにこれたのかもしれない。
そんな考えがヒワリの中で横切った。

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#66 春色の優しいクッキー 4/4

部屋のドアを閉め鍵をかけると、テーブルにあったクッキーを包んだ布を渡した。

「コリーさんから貰ったクッキーだよ。何か飲む?」
「いや、これだけでいい」


ヒワリは残ったクッキーに手を伸ばし茶色と白のチェック形をした四角いクッキーを選んだ。
サクサクした外側に、中からココアの風味が口の中に広がった。

「!…美味しい!」

「昔はあれでもクッキーとかパンをあいつは焼いてたんだ。たまに俺も手伝った」


――誰の話をしてるんだろう?
ヒワリはそう思いながらも黙ってヒイラギの話を聞いた。

「あいつが作るクッキーは美味しいって評判だった。優しい味がするって。
けどある日、狩人の取り逃がしたヴァンパイアが逃げる拍子に店を荒らし回ったらしい。
みんな無事だったそうだけど、あれからあいつはクッキーを作ってない」

ヒイラギの話を聞きながら、薄々だがあいつとはリズのことではないかとヒワリは考えた。

「どうして…?」
「…わかんねぇ。あれから…あいつ、変わったな。ただあいつの――リズのクッキーは、
春の優しい味だった」


ヒワリは食べかけのクッキーを眺めながら、リズの作るクッキーがどんな味なのか想像していた。

春色の優しい味。
恐らく、それはみんながいる幸せを意味していたんだろう。



「あっ、話それたけど、一様診とくよ」
「う、うん」

どうやら問題はなさそうだったのか、ヒイラギは一息つく。
「あ、部屋へ戻るんだったら、このパンとそのクッキー、持って行って」
「わかった。迷惑かけたな」


ヒワリは首を横に振り、ドアの前までヒイラギを送り出してまた1人部屋へと戻った。


どうしてヒイラギが急にリズの話をしたのかわからなかったが、少なからずヒワリの
胸の内は複雑な気持ちでいっぱいだった。
少々強引なところもあるが悪い人でないのは、ヒワリにも伝わってくる。


『邪魔をするな』

依然と予選後のリズの言葉がずっと頭の中でこだまする。

問題ないとみたヒイラギの言葉に逆らうように、右側のそでを脱ぎ肩を見ると、
黒い印に異変が起きていた。
カルネの朝、右肩を見た時より、鎖は肩とひじの間まで広がり巻き付くような広がりを見せていた。

リズの言葉に動揺した時、かすかに右肩が締め付けられていくような感覚に陥ったことを
ヒワリは覚えている。


――ヒイラギになんて言えばいいんだろう…

今更、黒い印が広がってきているとはいえない。
そして何より、明日は決勝戦だ。
リズのことも気になるがヒワリは明日のために静かに瞳を閉じた。

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Author:渚 日向 /ナギサ ヒナタ

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