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花とアリス(7)

茨の道がなくなり、
草むらへと迷い込んだ。
カマキリがチョウを捕まえ、
急に道を進むことが怖くなった。
あの花に動物が寄らなかったのは茨の棘のせい。
だから、チョウ、ハチ以外にあの花には寄らなかった。

守られていたんだ‥。
少しでも花のことを思うと、
寂しくて逢いたくて
涙が零れてきそうだったが
グッと我慢した。


帰らなきゃ‥。
そのために、別れたのだから。

夜になり、
一層闇が深くなった。
葉と葉の間に身を寄せた。

日が昇ると近くで
長い胴が横切り、
息を潜めじっと耐えた。
どうやらヘビらしい。


危険が去った後で、
ふとポケットに手を入れ
折りたたんだ花びらを
取り出した。
これは誰に貰ったんだっけ?

一瞬、誰に貰ったか忘れそうに
なって驚く。
どうして‥?


‥‥ああ、そっか。
こんな風に
帰り道を忘れたんだ‥。

とにかく帰り道を
思い出さなくては帰れない。

まだあの綺麗な花のことは
覚えてる。
忘れる前に戻らないと‥。


『元の世界に帰らないの?』
急にあの子が現れた。
このままじゃ帰れないよ、帰り道覚えてないから‥。
『あの花の所に戻るつもり?』
ええ、そのつもり。
私はそう答えた。

『バカね、別れたばかりでしょう。もう忘れたの?』
あの子の声が冷たく突き刺さった。
『あの花の所へ帰ったところで、またそっぽ向かれるわよ?』
それでもいい。
あの花を忘れるくらいなら‥それくらい我慢するよ。

『好きにしなさい。でも後悔するわよ』
あの子はそう言い残して消えていった。


覚えている限り、
反対方向へ歩いていった。
動物には見つからないように
草むらをくぐり抜ける。

花びらを時々見ては、
楽しかったこと辛かったことを
思い出す。


もう名前は覚えていない。

でも自分がわからなくなる前に、何としてでも花の前に着きたい。あの花ならきっと
私がわからなくなっても教えてくれるはずだから。

前方に見覚えのある
茨が見えてきた。


急いであの道に
向かおうとしたが何かがおかしい。
異様な静けさに鋭い空気が
辺りを覆う。


後ろを振り返ると、
すぐ側に体を起こしこちらを狙っているヘビの姿が目に映った。

おそらく、今朝のヘビだ。
あんなに気をつけていたのに。


ヘビの視線は
撃ち抜くように鋭かった。
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Author:渚 日向 /ナギサ ヒナタ

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