うぐいす色の実

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Kiroro (4) ハートってなに? 

陽がのぼって木の上に寝ていたメイラを優しく起こした。
柔らかい光と爽やかな風が居心地良く、起きても嫌な気分にはならなかった。


――結局‥、ハートって何なんだろう?



目に見えるものか、そうじゃないのかさえ分かってたらいいのに‥。

みんなにあって私にはないもの。
いや、正確には昔の私にもあったはず‥。



メイラは木から降りて再びハート探しに取りかかろうとしたが、その木の近くに黒いネコが通りかかった。

「キミ見かけないね」


よく見ると、黒いネコには鈴のついた首輪をかけていた。

「すみません、場所お借りしました」


言葉を交わしたのは昨日なのに、久しぶりに言葉を交わした気がした。
ネコというのも変な感じがしたが、気がつけばネコに言葉がしかも敬語で通じているのかが疑問だった。

「あ、あの‥やっぱり変ですか?」

「ネコにしては変だよ、まるでニンゲンみたいだな。ネコは謝らないよ、それに場所を借りることはない――」



結構ストレートに言われたこともあり、ちょっとショックだった。
「――それから、キミには警戒心がないよ?無防備過ぎる」


「無防備?」

「この街には街を牛耳っているネコがいる。気をつけないと、話になるような相手じゃない」


「うん、気をつけるよ。ありがとう」

「キミって本当に変だね」


メイラは苦笑いして、その黒いネコと別れた。




それから歩き続けたが、誰に聞いても分からないと言われるか悪ければ追い返された。
しょんぼりして、メイラは路地裏へ入り暗がりに天から差し込む光を眺めた。


「ここは危ないよ」

リンと鈴の音が鳴った。
急に言われて声の主を探すと、暗がりには
今朝の黒いネコらしい首に鈴をつけたネコがメイラに向かって話しかける。

「あっちの方がまだ安全だよ。ここは来ちゃだめだ」


訳がわからなくて躊躇っていると、黒いネコは通りの道へとメイラを押しやる。

「なんだレオか、珍しいな。連れか?」


暗闇から出てきたのは、灰色のネコでレオと呼ばれた黒いネコよりもふた周り大きい。



「お前こそ珍しいじゃないか、こんな昼間に」

「厄介者を追っ払いにきたんだ。最近変なヤツがいるってな」


灰色のネコは私を見ると、ニヤリと笑った。

「そいつは白いネコと聞いた。お前か、確かに変だな」


詰め寄る灰色のネコに怖じ気づいて動けないメイラを黒いネコは通りへと押し出した。



「飼い猫の分際で邪魔するな」

「出て行けばすむ話だろう?」


黒いネコはメイラに走って近付き、走ってとメイラに話した。
黒いネコの声で恐怖からの呪縛から解かれ、急いで黒いネコの後を追いかけかけていく。


灰色のネコは途中まで追いかけてきたが、次第に諦めたのか追いかけて来なくなった。



「上手く巻けたみたいだ。朝にも言ったけどアイツが街を、とくにあの辺りを牛耳っているネコだよ」


「やっぱり‥変なんだ。ハートがないから‥なのかな?」

「気にすることはないさ。はーとのことはわからないけど」





今居る場所は住宅の塀の上だった。


「ねぇ、はーと、って何?食べ物?」



「違うよ、でも誰にとっても大事なもの。ハートがどんな形か分かればいいんだけど」

「でもさっき、はーとがないっていってたよね?」



「私にはってことだよ。レオにもちゃんとあるんだよ、ここに」

メイラは自分の左胸に手を当てた。
鈴の付いた黒いネコ――レオは左胸に手を当てたが首を傾げた。


「よく分からないなぁ‥。そんなに大切なら何を無くしたか分かるのに」

「ハートは目に見えないんだよ‥たぶん」



メイラは自信なくそういった。




「じゃなぜ場所が分かるの?」


メイラは考え込んだ。
目に見えない、あるかどうかもわからないハートがどこにあるのか、
メイラにはなんとなく無意識で感じていたのだ。


レオは黙り込んだメイラを不思議そうに見る。

「キミは何て名前?」

「メイラだよ」


「じゃ、はーとが何だって、メイラはメイラだね。メイラに変わりないさ。
  だから‥あまり気にしない方がいいよ」


ハートというものはとても感情に響く。
しかし、嬉しさの反面謎解きのリミットが差し迫っていることには変わりなかった。



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