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Kiroro (10) 魔法使いのハート


「結局、魔法使いにハートがいらないって誰が考えたんでしょうね」



木々が生い茂った庭に花畑。
そこにテーブルを置かれ、ティータイムを黒い魔法使いは楽しんでいた。
隣には、白い猫。


傍目からみれば、異様な光景だ。



「昔は‥ハートが魔法使いにもあったんだよ。でも初めて星子と契約したとき、何か悲しいことがあったんだ」

「そういうのだけは得意よね、メイラは」

「作り話じゃないって。魔法歴史書に書いてあるよ?」



黒い魔法使いは考え込むように一口紅茶を飲んだ。

「‥そういえば、あんたは本の虫だったね」


魔法歴史書にはそこまで詳しく書かれていなかったが、
これまで自由だった魔法をある魔法使いが星子に頼んだこと、
それが元で今では星子に契約しなければ魔法が使えなくなったこと。

推測にはなるが、自由に魔法を使うには精神的に丈夫でなければ使いこなせない。
時代ごとに魔法の力も弱まり、魔法の衰弱は精神的な弱さが増したこと、魔法使いの衰退も余儀なくされた。

そんな中で一人の魔法使いが星子に契約を交わした。


どんな思いで契約したかはわからない。
でも、その魔法使いには恋人がいたという噂がある。

その裏付けとなるような悲しい魔法の力がわずかながらに、文字に宿っていた。



「どんなことがあったのかわからないけど、今ではもう星子に頼らないといけないし、
  もう魔法使いにはハートが戻らないのかもね」

「そんなことないよ、私だって――」


そんなメイラの言葉を遮り、黒い魔法使いはメイラに話す。


「あんたは違うよ、メイラ。選択の余地がなかったもの。
 それに余程のことがなければ、魔法使いは魔法を捨てない。いや、捨てられないと言った方が正しいかも」


メイラは黙り込んでお皿にあるクッキーをサクサクと食べた。



「でも‥お陰で少しハートが分かった気がする。メイラのハートは元に戻る必要があったのかもね」


「‥シャアラはこれからどうするの?」


少し寂しそうに黒い魔法使いは微笑んだ。



「あんたは本当に心配性ね。バカンスに行くのよ」

メイラは驚いて耳を疑ったが、そんな様子のメイラをシャアラは笑った。


「ごめん、冗談よ。あたしはバカンスに行くこともないし、この街を離れることはないから」

「そっか‥それならいいんだけど」


そう言いつつもメイラはあのシャアラの寂しそうな笑顔が気になった。


「シャアラ、また会えるよね?」

「もちろんよ」


ティータイムがすんだ後、白い猫は黒い魔法使いの元から去った。
黒い魔法使いはティータイムで残ったクッキーをかじる。


「きっとあの子は私より寿命が短い。
  魔法で私は生き長らえるだろうけど‥。でも、これで良かったんだね?」


黒い魔法使い――シャアラの言葉を聞いていたのは、メイラのハートを預かっていた星子だ。

シャアラの言葉に頷くようにキラキラと瞬いた。



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渚 日向 /ナギサ ヒナタ

Author:渚 日向 /ナギサ ヒナタ

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