[Edit]

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[Edit]

#66 春色の優しいクッキー 4/4

部屋のドアを閉め鍵をかけると、テーブルにあったクッキーを包んだ布を渡した。

「コリーさんから貰ったクッキーだよ。何か飲む?」
「いや、これだけでいい」


ヒワリは残ったクッキーに手を伸ばし茶色と白のチェック形をした四角いクッキーを選んだ。
サクサクした外側に、中からココアの風味が口の中に広がった。

「!…美味しい!」

「昔はあれでもクッキーとかパンをあいつは焼いてたんだ。たまに俺も手伝った」


――誰の話をしてるんだろう?
ヒワリはそう思いながらも黙ってヒイラギの話を聞いた。

「あいつが作るクッキーは美味しいって評判だった。優しい味がするって。
けどある日、狩人の取り逃がしたヴァンパイアが逃げる拍子に店を荒らし回ったらしい。
みんな無事だったそうだけど、あれからあいつはクッキーを作ってない」

ヒイラギの話を聞きながら、薄々だがあいつとはリズのことではないかとヒワリは考えた。

「どうして…?」
「…わかんねぇ。あれから…あいつ、変わったな。ただあいつの――リズのクッキーは、
春の優しい味だった」


ヒワリは食べかけのクッキーを眺めながら、リズの作るクッキーがどんな味なのか想像していた。

春色の優しい味。
恐らく、それはみんながいる幸せを意味していたんだろう。



「あっ、話それたけど、一様診とくよ」
「う、うん」

どうやら問題はなさそうだったのか、ヒイラギは一息つく。
「あ、部屋へ戻るんだったら、このパンとそのクッキー、持って行って」
「わかった。迷惑かけたな」


ヒワリは首を横に振り、ドアの前までヒイラギを送り出してまた1人部屋へと戻った。


どうしてヒイラギが急にリズの話をしたのかわからなかったが、少なからずヒワリの
胸の内は複雑な気持ちでいっぱいだった。
少々強引なところもあるが悪い人でないのは、ヒワリにも伝わってくる。


『邪魔をするな』

依然と予選後のリズの言葉がずっと頭の中でこだまする。

問題ないとみたヒイラギの言葉に逆らうように、右側のそでを脱ぎ肩を見ると、
黒い印に異変が起きていた。
カルネの朝、右肩を見た時より、鎖は肩とひじの間まで広がり巻き付くような広がりを見せていた。

リズの言葉に動揺した時、かすかに右肩が締め付けられていくような感覚に陥ったことを
ヒワリは覚えている。


――ヒイラギになんて言えばいいんだろう…

今更、黒い印が広がってきているとはいえない。
そして何より、明日は決勝戦だ。
リズのことも気になるがヒワリは明日のために静かに瞳を閉じた。
スポンサーサイト

Trackback

Comment

Post a comment

Font & Icon
Secret


カウンター

プロフ

渚 日向 /ナギサ ヒナタ

Author:渚 日向 /ナギサ ヒナタ

カテゴリー

  • ♦張り紙(14/10/6〜)♦ (1)
  • ♢メモ帳(14/10/6~)♢ (0)
  • *映画* (0)
  • *ゲーム* (0)
  • ◇情報ポスト◇ (5)
  • ◆日記◆ (26)
  • ◇本棚◇ (129)
  • ◆小物入れ◆ (27)
  • ◇作品箱◇ (2)

◇◆ノンフィクション◆◇

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。