うぐいす色の実

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Mission10# ミッドガンド――ミリカの地下都市―― 2/3

ぼんやりとした風景。緑、黄色。
ぼんやりとした人影。
こちらに向かって何かを言っているらしい。

何を言ってるんだろう・・。




そう考えていると、すぅーっと意識が戻ってきた。
先に目に映ったのはやわらかいオレンジ色の光だった。金色の玉の上に火が灯り、音を立てずにユラユラとゆれている。

誰かの服をまくらや毛布にしていたおかげで、冷えで体がかじかむことはなかったようだ。
体中あちこち痛んだがどうにか起き上がってあたりを見回した。
あの穴は井戸の跡でその理由に、地下水の貯水湖のような場所に落ちたところから、
どうやらかなり下まで落ちたようで、ティアがいるこの場所は貯水湖の岸辺ともいえるような場所だった。


 「起きて大丈夫なのか?」

声を掛けたのは、火の側に立っていたあの時の青年だった。



 「あ、あの・・さっきは助けていただいてありがとうございました」
 「いや、それはいいけど。体休めとけよ?」



右肩には布切れで包帯のように巻かれ、服のすそから見え隠れしている打撲のアザはまだ残ったままだ。
青年が心配するのは無理もない。



「痛々しいですよね。でも大丈夫ですから」


「そうじゃなくて‥、まぁ‥そうなんだけど‥、この先に地下都市があったから、そっちに移動しようかと思って。その前に傷見るよ」




そう言って青年は隣に座り、右肩の巻いた布を取り外して新しい布に取り替え始めた。


そういえば追われたままで食料は何も持っていない。
ティアはハッとして、食料とまではいかなくても、あるのは非常食のクルミなど栄養価の高いモノを持ち合わせていたことを思い出した。

自分のロープを手に取り、ポケットの中にある小さい袋の中からクルミ2つ分ほどのむきクルミを取り出してそれを青年に渡した。




「こういうのしかないけど、良かったら食べて」

「ありがと」



布を巻き終えると、二人並んでぽりぽりと音を立てた。



「‥クルミってこんなに美味しかったっけ?」

「今が食べ頃なのかな?私が住んでいた家の近くにこのクルミがよく採れるの。栄養があるからってよくメアリーおばさんに渡されて非常食用に取っていたの」


「メアリーおばさん‥?」

「私のお母さんみたいな人‥。記憶をなくしてメアリーおばさんに助けられてから、よくしてもらってる。今は何度かしか会いにいけてないけど」


「なんて名前?」


名前を聞かれてドキッとした。もしかしたら‥――、パラディンかもしれない。‥そう思ったが、この人なら話しても大丈夫という安堵感もあった。


「ティア」

「ティアか、いい名前だね」


「で、でも‥ホントの名前じゃなくて‥。メアリーおばさんがつけてくれたの」


「それでもいい名前だ、俺はイリス」

「‥イリス」


不思議と気持ちが高揚し、鼓動が聞こえ始めた。


「イリス、そろそろ行かなきゃね。クルミは一時的なものだからお腹空くだろうし」

「そうだな、じゃ行くか」



ロープを羽織り柔らかな光に包まれながら、奥へ奥へと進んだ。
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